初心者 富士登山

初心者でも大丈夫、という表現へのご注意

「初心者」に関する注意

登山のサイトって、たくさんありますが、「初心者でも大丈夫」という表記が気になりました。

特に、富士山は登山でも人気がありますし、名所でもあります。山登りするなら富士山! という気持ちも分かります。しかし、初めて登る山が日本一高い山というのは、「初心者におすすめ」なのか?

当ページでは、疑問を提示してみました。

 

○そもそも、「初心者」って何だ?

初心者でも大丈夫、という表記に使われている「初心者」には、2通りの意味があるように思います。ひとつは山登り自体がはじめてという意味。もうひとつが富士山の登山がはじめてという意味。同じ「初心者」でも、ずいぶん違いますよね。

 

○高齢者が参加しているから初心者でも大丈夫、という誤解と錯覚

初心者でも大丈夫であることを説得する例として、高齢者でも参加していることをあげているサイトがあります。確かに、富士登山の高齢者の参加は思っているより多いです。わたしの参加したツアーにも何人かいましたからね。

でも、高齢者が参加しているからといって、山登り自体がはじめての方でも大丈夫というのは、言いすぎです。その方は、健脚かもしれないし、登山経験があるかもしれません。

 

山登り初心者を阻む 富士登山の難所

旅行関係のパンフレットや呼び込み広告には、たいてい「いいこと」しか書かれていません。
・見晴らしがいい
・ご来光、日の出が感動的
・山ガールなどで、ブームになっている
(確かに女性の登山客は多いです。ツアーでも、半数は女性でした)

ところが、人気の吉田口コースにも難所があります。
(ピーク時を避けて9月半ばに申し込んだのですが、バスツアーは満席状態になりました。山小屋の閉まりかける時期であり、わたしの登山した10日後には、富士山では雪をかぶりましたから、ギリギリの時期だったのです。こんな時期ですら、全席埋まりました。富士登山って、とても人気なんです)

富士登山の最初は余裕 登山用ストックも不要

富士登山は、最初は楽勝なんです。ガイドの足の遅さに不満を漏らすかもしれませんが、5合目付近は、登りであるものの道は平坦。登山用ストックなんか不要です。
(吉田口コースは、いったん下ってから登るコースです)

余談ですが、緑と赤のザックはレンタルです。全員一緒。ザックを持参せずに、レンタルした方は、同じメーカーのザックになったので、バンダナや名札をつけて区別したほうがいいですね。

赤のバンダナは、ツアー別に用意された識別用に渡されたものです。登山直前に配布されて、ザックに結び付けることになりました。

富士登山の登りコース

それからしばらくして、石ころが増えてきました。地面は砂地でなくなっています。
でも、まだまだ序の口。上り坂には違いないですが、登るというより、歩ける感じです。そろそろ登山用ストックの出番ですね。

富士登山での初心者への注意

登っています。いよいよ、登山らしさが出てきました。
先頭を行くのはガイドさんのひとり。最後尾にも、もうひとりガイドさんが付いています。

岩場には違いありませんが、頂上付近の岩場に比べれば、余裕の岩場です。この写真を見て、

「これで余裕なのかよ?」

と思ったなら、頂上付近の岩場の厳しさを想像してください。といっても、無理だと思いますが。
それより、左側に杭が打ち込まれており、ロープ(鎖)で結ばれていますよね。ここに注目。

そして、行く手には山小屋が連なっています。このように次の休憩所や山小屋が見えていると、ここまで登れば一休みできるという限度が分かりますから、気分的には、とても楽なのです。

 

富士登山 7合目以上に難所が現れる

富士登山でご来光を見るためには、夜に登山をしていることになります。つまり、ヘッドライト装着で夜半に登山は当たり前。このときの登山の様子は、それほど写されていないような気がしました。

富士登山でヘッドライト装着

休憩所で、ヘッドライトを装着。
月が出はじめていますよね? すでに雲の上に出ています。これから次第に暗くなっていきます。

初心者への注意事項 富士登山の難所

日が落ちて、7合目の山小屋へ到着。
疲れでブレていますが、月夜であり、満月でした。この後、8合目までのあいだに岩場を登ることになります。歩くのではなく、手を使って登るのです。登山用ストックが邪魔になることさえありました。

この7合目以降が難所となる理由について、説明すると、

・登山時刻が夜になっている
・岩場にさしかかった場合、勾配が急峻である
・杭が打ち込んであるものの、ロープ(鎖)で結ばれていない
・そのため、登山道が分からなくなることがある

・登山道(らしい道がないのだが)を外れると、余裕で転がり落ちられる
・風景を楽しんでいる余裕がない(そもそも夜なので)
・断崖絶壁に近いところがある(振り返ると怖エェ!)

・8合目で仮眠をとるとなると、7合目あたりは疲労のピークに達している
・登山用ストックが役に立たない、むしろ邪魔なところがある
・以上のことから、肉体的でなく精神的にもキツイものがある

こんなところでしょうか?
さらに、フリーではなく、富士登山バスツアーなどに参加していることからくるマイナス面、疲労、厳しい条件も関係してきます。

 

富士登山バスツアーの参加からくる難所と短所

ツアーに参加することのメリットは、まず道に迷うことがないということです。先頭と最後尾にガイドさんが付きますからね。疑問点があれば聞くこともできます。

さらに費用も驚くほど安くなっています。
「旅行会社って、こんなので儲けがあるのか?」と、首を傾げるくらい安くなっていました。

 

しかし、短所もあります。ツアーでの富士登山の条件を確認してみましょう。

雨天決行 ← 要注意!
・自由に休憩できない
・隊列から遅れると、不安になり、精神的に厳しくなる
 (ただし、最後尾にはガイドさんがいます)

7合目以降の岩場を夜間にヘッドライトをつけて登ることを想像してください。さらに雨天決行。おまけに新月だった日には……。ものすご~くキツい登山になるはずです。

普通、初心者の方がバスツアーなどに予約する際に、当日が満月なのかどうかなど、まず考えないと思います。岩肌が滑る、道が分からない、遅れがちになる……という状況は、とても厳しいものです。

わたしのときは、幸い2日連続で晴れ。夜は満月で、相当、天候にも恵まれましたが、月夜の明かりに照らされた7合目以降の岩肌は、初心者には難所だと思いました。写真を撮らなかったのが悔やまれます。
(富士山に5回登っても天候に恵まれず、ご来光を拝めない方もいるのです)

何度もいっていますが、初心者の方には、ツアーに参加することをおすすめします。ザックなどのレンタル料金、バス料金や登山の費用もそんなに高くないと思います。

ツアーに参加すると、富士登山時に隊列を組むことになりますが、初心者は前の方、熟練者は後ろになるものです。で、疲労するとペースについていけないので、遅れることになります。最後尾あたりを彷徨うことも……。
(繰り返しますが、最後尾にはガイドのひとりが付きます)

隊列を組んでいるとき、疲労から遅れるようになると、前の方との距離が離れていきます。これは、とても不安になるので、鼓動が激しくなり、高山病のきっかけになっているのではないかな? と個人的には思っています。

ツアーで富士登山に来ていると、好き勝手に休憩したり登ったりできないので、どうしても進まなくてはならない、というプレッシャーに付きまとわれます。これはツアーでの短所だと思うので、よーく考えてくださいね。無理をしないように。ハイキングとは違いますからね。

FX用語